2020年8月:新たな共同出版物

今月、I2CNERの前任者が中心となって、International Journal of Greenhouse Gas Controlに新しい共同論文を発表しました。 Dr Hadi Farabi-Aslファラビ=アスル博士は現在、京都の総合地球環境学研究所に勤務していますが、共同研究の交流は今も続いています。

本記事は、TIMES-Japanのフレームワークを活用したホールシステムエネルギー分析研究であり、CCSを組み込んだ国内の排出削減を達成するための、重要な要素を明らかにするものです。

2050年までに排出量を80%削減するという意欲的な目標を掲げる日本では、対応の一環としてCCSを取り入れることになるでしょう。同時に、水素の輸入や需要サイドの戦略も重要になってくるでしょう。

概要: パリ協定の目標である摂氏2度を大幅に下回る目標を達成するために、先進国は今後数十年の間に排出量を大幅に削減することを公約した。2 日本において2050年までに80%の排出量を削減するため、エネルギーシステムの供給側と需要側に様々なエネルギー効率の高い低炭素技術を合理的なコストで導入する必要がある。本研究では、最小コスト最適化アプローチを採用したTIMES-Japanフレームワークを用いて、日本の排出量削減目標達成の可能性を検討した。また、排出削減目標の達成に向けた二酸化炭素回収・貯留(CCS)の貢献度を、CCSと同じエネルギー分野における2つの重要な排出削減技術の評価と併せて、様々なシナリオで検討した。分析の結果、実現可能なシナリオを得るためには、供給側では水素の輸入が、需要側では製鉄炉の電化が重要であることが明らかになった。また、各シナリオでCCSの最小容量を算出した結果、2050年までに500万トンから1億5千万トンのCO2排出量が得られると予測される。2 最低限のCCS容量の範囲は広く、様々なシナリオにおける水素の輸入と製鉄用のEAFの利用可能性に影響される。一方、極端に低いCCS容量では、エネルギーシステムコストが非常に高くなってしまう。分析結果に基づいて、適切なレベルのCCS、水素輸入、EAFの展開に関する政策的な意味合いを議論している。

https://doi.org/10.1016/j.ijggc.2020.103097

 

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