長崎大学の重富教授は、エネルギーシステムと社会的公平性に関する共同研究プロジェクト「翼」の一環として、「Quantifying lifestyle based social equity implications for national sustainable development policy」と題した共同研究論文を発表しました。この研究では、モノやサービスの消費に代表される様々な行動が、社会的公平性の全体的なレベルにどのような影響を与えるか、また消費に伴う負担の分担にどのような影響を与えるかを明らかにしています。
概要:本研究の目的は、環境負荷の低減と公正な配分を通じて、より公平な社会的成果を達成するという課題に取り組み、そうすることで国の持続可能な開発政策に貢献することである。本研究では、ライフスタイルに関連した環境フットプリントとステークホルダーの好みに関して、社会的成果の性質を「不公平」というレンズを通して明らかにする。フットプリントは産業連関分析を用いて導き出され、環境問題への嗜好と潜在的な改善策は全国調査を用いて特定される。ここでは、広く適用可能なフレームワークの価値を強調するために、人口動態の変化により高齢化と人口減少が進んでいる日本のケーススタディを行う。主な発見としては、家計の嗜好に沿って環境フットプリントを軽減することで、社会的公平性にプラスの影響を与え、貧富の差を縮めることに貢献できるということである。重要なことは、幅広い参加、つまり所得レベルに関係なく参加することが、単一のセクターからの参加よりも効果的であることが示されたことである。これらの結果は、政策立案者が社会的な嗜好や人口統計学的な傾向に対応した政策を策定する上で参考になると同時に、社会的な公平性の許容範囲の基準を明確にするための議論を促進するものである。
DOI: 10.1088/1748-9326/ab9142